家族信託は大丈夫?よくあるトラブルや対策などわかりやすく解説
民事信託の制度には、家族信託と法人信託がありますが、これらは委託者の意向に沿った財産管理・運用を行うための制度であり、相続対策や認知症対策として非常に有用な方法とされています。
ここでは、特に家族信託で留意すべきこと、よくあるトラブルの事例やその対策などを分かりやすくまとめていきます。
家族信託について
家族信託とは、民事信託の1つであり、委託者となる本人が、その所有する財産の管理や運用を、信頼できる家族に任せることをいいます。
契約に際しては、委託者(本人)と受託者(家族)との間で信託契約を締結し、具体的にどのようなことを任せるのか、その権限の内容や範囲について決めておきます。
たとえ本人が、認知症等によって判断能力を失ったとしても、家族によって適切に財産を取り扱ってもらえるよう、本人の判断能力が十分なうちに信託契約を締結しておきます。
また、相続対策としても同様で、本人が生きているうちに信託契約を締結しておくことで、本人の死後に適切に財産を取り扱ってもらうことを目的としています。
ただし、相続対策として効力を発揮するのは、あくまでも信託財産に対する帰属権や複次的な受益者(第2次受益者の指定など)の決定までの取り扱いであり、相続財産全てを信託契約でカバーできるわけではありません。
そのため、相続手続きを円滑に行うためにも、信託契約と併せて「遺言」を作成しておくことを強くお勧めします。
家族信託でよくあるトラブルやその対策について
家族信託は、相続対策や認知症対策として、財産の管理・運用について本人の意思を尊重できる仕組みといえます。
しかし実は、場合によってはトラブルを引き起こしてしまう危険性を孕んでいます。
よくあるトラブル事例とその対策について以下に挙げてみましょう。
①契約書の内容に問題があるケース
まず1つ目の例として、自分たちで作成した契約書の内容に問題があるというケースが考えられます。
確かに、信託契約は委託者と受託者とで話し合い、内容を決めることができれば、自分たちで作成可能ではあるものの、自分たちだけでは気づかないような法的な問題を見落としてしまう可能性が否めません。
例えば、家族信託できない財産を信託契約書に記載してしまったり、将来、遺留分をめぐって相続人同士で揉めごとが起きそうな内容にしてしまったり等ということが考えられます。
そういった問題の対策としては、民事信託する内容が、ある程度固まった段階で、民事信託に詳しい士業などの専門家に相談し、希望する信託内容となるよう検討を重ねていくことも大きなポイントとなります。
また、締結したい契約内容を「信託契約公正証書」として残しておくことで、後々の遺産相続などのトラブルを最小限に食い止めることが可能となります。
②受託者が死亡してしまうケース
2つ目として、受託者となっていた人が死亡してしまうというケースが挙げられます。
とりわけ、民事信託においては、信頼できる受託者を選出することが非常に重要なポイントとなります。
もし受託者が亡くなってしまった場合、その受託者との間で結んでいた信託契約は終了するケースが一般的ですが、信託契約が継続する場合には、新たな受託者を決めなくてはなりません。
あらかじめ、受託者が死亡した場合に備えて新受託者(予備的受託者)を信託契約の中で指定しておくことができますし、このような状況を想定して最初から法人を受託者として財産管理・運用を任せる法人信託を検討することが考えられます。
特に、財産の中に不動産が含まれる場合、不動産に関して豊富な知識を有する事業者に資産管理・運用を依頼することで、財産管理の継続性が担保され、安定して信託業務を任せることができるといえます。
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身の回りの整理や遺言書の作成など、残された家族間の負担を軽くするための活動でもあると同時に、先のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
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