遺言書が無効になるケースとは？対策も併せてわかりやすく解説

遺言書は相続における重要な文書ですが、作成方法を誤ると無効となるケースが少なくありません。

そのため、遺言書の作り方と注意点を正しく理解することが大切です。

本記事では、遺言書が無効となる原因や対策方法などについて解説します。

遺言書が無効となる主な6つの原因

遺言書の代表格である自筆証書遺言は、手書きで作成できるうえ、費用も抑えられるため広く利用されている方法です。

一方、作成時の決まりは厳密で、ひとつでも不備があると無効になってしまいます。

自筆で作成されていない

2019年から財産目録については、デジタル作成が認められていますが、遺言書の本文は遺言者本人の手書きが必須です。

各種証明書類の添付も可能ですが、全ページに署名と押印が必要となります。

日付の記載に不備がある

遺言書には正確な作成日の記入が必要で、日付の省略や曖昧な表記は認められません。

年月日を明確に記載することが求められ、「吉日」などの表現では無効となりますが、「月末」など、特定することが可能な日付は有効です。

署名や押印に不備がある

遺言書には遺言者本人の署名が必要で、基本的には戸籍上の正式な氏名を使用します。

芸名や通称も認められますが、混乱を避けるため、正式名称がおすすめです。

印鑑の押印も必要となり、拇印や認印も使用できますが、トラブル防止のために実印を用いるのが望ましいでしょう。

遺言書の内容が明確ではない

遺言書の作成では、財産の譲渡内容と相手を明確に示す必要があります。

財産の取り扱いについて具体的な表現を使用することが、有効な遺言書の重要な条件です。

「託す」などの曖昧な言葉では、無効となる可能性があります。

遺言書が複数人で作成されている

遺言書は一人ずつ個別に作成する必要があり、民法第975条では複数人による共同作成が明確に禁止されています。

たとえ夫婦間であっても、二人で一通の遺言書を作ることはできず、法的な効力は認められません。

遺言書能力がない人物によって作成されている

遺言書の作成には、作成者本人に十分な判断能力が求められます。

遺言の内容や効果を、正しく理解できる状態であることが重要な要素です。

遺言者本人が「15歳以上」と、年齢制限が設けられているので注意が必要です。

遺言書が無効にならないための注意点

遺言書は家族の将来を守り、遺産相続を円滑に進めるための大切な文書です。

時間と労力をかけて作成するものですから、法的効力を失わないよう以下の注意点を確認しておいてください。

法定の作成手順に従って作成する

遺言書には法律で定められた厳格なルールがあります。

有効なものにするためには、定められた手順を正確に守る必要があり、個人的な解釈での作成は避けましょう。

信頼性の高い公正証書遺言を選ぶ

遺言者に判断能力がある場合、専門家によって作成される公正証書遺言の有効性は極めて高いです。

遺言書の内容を確実に実現したい場合は、公正証書遺言が最適な選択肢といえます。

自筆証書遺言保管制度を活用する

2020年7月から、法務局による遺言書保管制度がスタートしました。

自筆証書遺言を法務局へ預けることで、書類は画像データとして安全に保管されます。

民法第968条に定められた形式に沿って作成された自筆証書遺言は、遺言書保管制度を利用することにより、無効になることを防ぐことが可能です。

まとめ

遺言書は財産の円滑な承継を実現する重要な文書です。

有効な遺言書を作成するには、法定の手順に従い、必要事項を漏れなく記載することが必要になります。

特に自筆証書遺言は作成が容易である一方で、細かな不備でも無効となるリスクがあります。

遺言内容の確実な実現を目指すなら、早めに専門家に相談することがおすすめです。